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20240720
ガーブルバンドクライ
2 週間ほど前に見始めたアニメですっかりハマってしまった。それから何周かしているが観るたびに面白い。 正直なところ、見慣れない CG アニメということもあり、1 話目の時点では全く面白さを感じなかった。 それが 3 話目ぐらいから俄然面白くなってきて、 最終話の時点で自分の中の アニメランキングの中でも歴代トップを争う高評価となった。 見慣れなかった CG もいつのまにか馴染んできたばかりか、ライブシーンでの立体的なカメラワークなど CG だからこそ成し得た演出もあると気がついた。
全話を通して、主人公のエネルギー、aka トゲトゲ、が心に突き刺さる。 行き場のないドロドロした熱量。空回り。すれ違い。 ああ、そうだ、十代の頃ってこんな感じだったよなぁ。
仁菜「ああゆう子は反撃できないようにしっかり仲間作ってから仕掛けてくるんです。
仲間使って無視して、危害加えてきて。
あたし、病院に運び込まれたのに、学校どころか家族まで "騒ぎにしない方がいい" って」
桃香「やっぱり歌った方がいいと思うぞ。今の話だけでも 5 曲は作れる」
桃香「それだけ仁菜は鬱屈して、エネルギーが、溜まってる。それは...紛れもない、ロックだ。」
仁菜「...ロック?」
桃香「誰もお前のことを知らないし、誰も待ってやしない。でも、それが面白いんだろ?」
仁菜「ァーアーアーーアーーアアアアアアアーーーーーーー!!!!!!」
桃香「仁菜はロックンロールなんだよ」
私ももともと社会不適合者で、十代後半からはずっと死にたいと考えていて、働いてからも、葬式代は稼いで貯金しておかないといけないなぁという 気持ちだけで働いていた。三十歳になったら死ねばいいから、それまでは好きなコンピュータを弄んで生きていればそれでいいやと刹那的に生きていた。 それが、いつのまにやら少なからず処世術を身につけた(身についていない)いっぱしの大人になっていたんだなあ(なっていない)。
年を重ねていくうちにいつの間にか鬱屈さをごまかして、擦り減って、エネルギーが枯渇していた。 音楽ってこんなにエネルギーを伝播させるものなんだということを初めて実感したかもしれない。
作中で展開される曲はもう全部いい曲ばかりだけど、トップ 3 を選べと言われたら(言われてない) 「視界の隅 朽ちる音」「空白とカタルシス」「名もなきなにもかも」「爆ぜて咲く」「雑踏、僕らの街」だろうか(4 つじゃねーか)。 特に「視界の隅 朽ちる音」の歌詞は響く。だらだらと年齢を重ねてしまって、このままだと死ぬまで願いは叶わないかもしれない。 自分の音を朽ちさせてはいけない。そのまえにやるだけやってみるかという気になる。
視界の隅 朽ちる音
そうやって 知らないフリで
僕ら手が汚れないように
視界の隅 崩れてゆく夢のかけら
気づかないフリして 聞こえないフリして
ほら 過ぎてゆく
(... snip ...)
灰になった後で ようやく気づいて
願いはいつまでも届かない
変わり続けるこの世界で
僕ら 何を浮かべようか
(... snip ...)
何を掲げようか
君に会えるだろうか
全て終わる前に
この指で 描いていこう
自分の中のトゲトゲを折りながら、妥協しながら、生きていくことが普通になってしまった私にとって大きな「爪痕」を残したアニメとなった。 ロックっていいな。
2024-07-20 22:46:55 +0900 +0900